自賠責保険とは？

自動車に関する保険は、自動車損害賠償責任保険（いわゆる自賠責保険）と自動車保険（いわゆる任意保険）の２つに大別されます。今回は自賠責保険についてのお話しです。

 

自賠責保険は、自動車による人身事故の被害者救済を目的として、法律で加入が義務付けられている強制保険です。民間の保険会社が運営する私的保険ですが、公的保険に近いものとなります。自賠責保険がないと車検には通りませんので、車検の際に費用として保険料を支払っているケースが多く、気に留めたことがない方も多いかもしれません。

 

自賠責保険では
①傷害による損害
②後遺障害による損害
③死亡による損害
に対して保険金が支払われますが、それぞれ上限があります。

 

 

被害者1名につき①は治療関係費、休業損害、慰謝料等の合計で120万円、
②は逸失利益、慰謝料等の合計で、傷害の程度によって75万円～4,000万円、
③は葬儀費、逸失利益、慰謝料等の合計で3,000万円です。

 

 

つまり自賠責保険で補償できるのは対人賠償のみで、その範囲も限られています。死傷された方の年齢、年収、家族構成等により、逸失利益は億を超えるケースもありますので、自賠責保険だけですべてを賄うのは難しいことがあります。また、相手の車などの対物賠償の補償、ご自身と同乗者の死傷やご自身の車に対する補償、事故や故障の際のロードサービス(レッカー費用など)もありません。

 

 

そして重要なのが、自賠責保険と任意保険の両方が付帯されていない車に対しては、示談交渉のサービスがないということです。法律や判例の知識もなく、事故処理の流れもわからない素人が、事故に関する手続きと示談交渉を行わなければならなくなってしまうのです。

 

 

よって、自賠責保険の対人賠償の超過部分と、対人賠償以外のリスクをカバーするために、もう一つの任意保険も契約されている方がほとんどです。通常、自動車保険に入っているという場合の保険は、任意保険の契約を指す場合が多いでしょう。